幌延_評価書_10章1.3 環境影響評価の結果(動物)【公開版】
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(b) 渡り鳥 ア. ガン類に対する累積的影響 ガン類の主要な渡りルートは、対象事業実施区域や計画中の発電所の位置よりも東側であり、特に秋季の渡り期には、パンケ沼付近を起点として南方向の天塩川河口方向へ飛翔している。 海岸に沿って飛翔することは稀であり、渡りルートが妨げられることはないと考えられる。 計画中の風力発電所の調査では、既設風力発電設備を避けて飛翔しているように見えるが、本調査では上空を高く飛翔して通過する場合はあるものの、既設風力発電設備付近の飛翔個体数は少なく、特に既設風力発電設備を回避しているというよりは、ガン類の主要な渡りルートであるパンケ沼から天塩川河口から離れているためと推定される。 なお、計画中の風力発電所が建設されることにより、風力発電設備は増加することから衝突リスクは増加すると考えられるが、対象事業実施区域及び計画中の風力発電所周辺は、ガン類の飛翔自体は少なく、年間予測衝突数が大幅に高くなる可能性は低いと考えられる。 以上より、ガン類に対する新設風力発電設備と計画中の風力発電所による累積的影響としては、風車の数が増加することにより衝突リスクは増加すると予測される。しかし、新設風力発電設備と計画中の風力発電所はガン類の主要な渡りルート上にはないことから、ガン類に対する累積的な影響は小さいと予測される。 イ. ハクチョウ類に対する累積的影響 ハクチョウ類の主要な渡りルートは、対象事業実施区域や計画中の発電所の位置よりも東側が主で、ガン類の主要な渡りルートと概ね同じだが、ガン類と若干異なり、対象事業実施区域から真南の海上方向への飛翔も確認されている。この飛翔は起点となる稚内付近の大沼やパンケ沼、ペンケ沼から南方向の留萌、または小樽方向へまっすぐ飛翔する渡りルートであると考えられる。このようなルートを通る場合には、飛翔高度は200~300m以上と、既設風力発電設備より高空を飛翔している。 なお、計画中の風力発電所が建設されることにより、風力発電設備は増加することから衝突リスクは増加すると考えられるが、対象事業実施区域及び計画中の風力発電所周辺は、ハクチョウ類の飛翔自体は少なく、また対象事業実施区域及び計画中の風力発電所上空を横切る場合には、高空を飛翔していること、風車に対して高度Mで飛翔している場合には、目視で回避していることが確認されていることから、年間予測衝突数が大幅に高くなる可能性は低いと考えられる。 以上より、ハクチョウ類に対する新設風力発電設備と計画中の風力発電所による累積的影響としては、風車の数が増加することにより衝突リスクは増加すると予測される。しかし、新設風力発電設備と計画中の風力発電所はハクチョウ類の主要な渡りルート上にはなく、また新設風力発電設備と計画中の風力発電所上空を通過する場合には、風車に衝突しない高空を飛翔すると予測されることから、ハクチョウ類に対する累積的な影響は小さいと予測される。 ウ. カモメ類に対する累積的影響 カモメ類の主要な渡りルートは、対象事業実施区域や計画中の発電所の西側の海岸線と平行したルートであり、東側の樹林帯上空も少数が飛翔する。少数が海岸線から樹林帯または内陸の湿地へ、または内陸から海岸線への飛翔も少数確認されている。 計画中の風力発電所が建設されることにより、風力発電設備は増加することから衝突リスクは10.1.3-666 (1164)

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