幌延_評価書_10章1.3 環境影響評価の結果(動物)【公開版】
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ブレード・タワー等への接近・接触 り、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用すること、既設風車撤去作業時及び新設風力発電設備建設工事は、繁殖期初期にはオジロワシの既存営巣地から離れた場所から工事を開始し、既存営巣地に近い風力発電機は、繁殖期初期には可能な限り工事を避けること、工事騒音等が最も大きくなる時期(既設風力発電設備の撤去工事時等)において、猛禽類の繁殖状況への影響等を確認するための補足調査を実施することにより、影響は低減できるものと予測する。 なお、過去に繁殖成功が確認された2001年繁殖期には既設風力発電設備の工事を実施しており、雛の孵化が確認された2001年5月まで近傍での大規模な工事を控え、風車本体の据付も幼鳥が巣立った7月以降に実施する等の配慮を実施し、繁殖成功を確認している。また、2022年8月に実施した補足調査により、営巣地の直近500mで砂採取工事が行われている中で、幼鳥1羽の巣立ちが確認されている。 本種は周年調査地域に生息しており、周辺で繁殖を行う2(Aペア、Cペア)つがいのほか、冬季には越冬個体も周辺に飛来することから、年間を通じてブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.3493個体/年、球体モデルが0.7878個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.1814個体/年、球体モデルが0.5411個体/年であり、既設風力発電設備より、新設風力発電設備で、年間予測衝突数は減少する。 なお、既設風力発電施設は2003年8月から稼働しており、18年間の稼働中に本種の2例の衝突事例(2006年6月、2008年1月)が確認されている。予測衝突率によると、環境省モデルでは18年間で6.3個体、球体モデルで14.2個体が衝突する予測となっているが、実際にはその1/3以下の衝突しか確認されていない。また実際に現地調査において観察された飛翔例では、風車近くで上昇して避けるように風車直上を通過したり、風車と風車の間を高度Mで通過したりするなど、既設風車を認識して避けている行動等も確認されており、本地域では地形条件等により、衝突予測のパラメータとして用いた98%より高い回避率となっている可能性が考えられる。しかしながら、衝突死骸の持ち去りにより確認されていない衝突例がある可能性及び2例の衝突事例が過去にあること、「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改訂版)」(環境省,2022年8月)では、オジロワシの行動圏内部構造が設定できない場合には営巣中心域を巣から半径1kmに設定し、離隔を確保することが求められていることなどを考慮して、既知のオジロワシ営巣地から1km以上の離隔を確保するため、新設風力発電設備は既設風力発電設備より北端から南側へ約200m、南端から北側へ約200m離した位置に配置する計画とする。 また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。さらに、音声発生装置を用いた環境保全措置の実施により、衝突確率はより低減できると考えられる。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 10.1.3-547 (1045)

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