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表 10.1.3-118 重要な種の影響予測結果(ハチクマ) 本種の主な生息環境は樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)であり、事業の実施により生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な生息環境である樹林環境のうち、針葉樹林は改変されず、広葉樹林の改変割合は0.03%と小さい。また、本種の営巣環境となる樹林環境のうち、針葉樹林は改変されず、本種の営巣場所は予測地域では確認されていない。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は樹林内及びその上空であることから、繁殖行動や採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境である樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)は、改変区域が含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は調査地域周辺を春秋渡りの時期に通過し、営巣場所は確認されていないが、調査地域外で繁殖している可能性も考えられる。本種の主な生息環境である樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)は、改変区域が含まれることから、ブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)及び新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)において、現地調査では高度Mの飛翔は確認されなかった。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 アジアおよびヨーロッパに分布する。日本に生息する亜種(P.a.orientalis)は、夏鳥として渡来し、主に本州中部から北海道に多く繁殖する。本州中部では標高1000mから1500mの低山に生息し、アカマツなどに営巣する。 ハチを餌とすることに適応し、形態的な特化が見られる。ハチの他に、カエル類、鳥類も餌としているが、巣にいる雛に運ばれた餌の6割は、ハチの幼虫であった。 本州中部・北部で繁殖した個体は9月から渡りを開始し、九州の五島列島などから東シナ海を越えて中国に入り、その後は南下し、インドシナ半島、マレー半島を経由し、スマトラなどで越冬する。 春の渡りは、ほぼ逆のコースをたどるが、中国を北上した後、朝鮮半島を経由し、九州に戻ることが衛星追跡で明らかにされた。秋の渡りは、青森県竜飛岬、長野県白樺峠、愛知県伊良湖岬、愛知県高茂岬などで調査されているが、近年の生息数の増減については判断できていない。 【参考文献】 「レッドデータブック2014-日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類」(2014年、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室) 確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 本種は現地調査において、猛禽類調査時に確認された。 本種は合計8回確認され、対象事業実施区域内で3回、対象事業実施区域外で2回、調査地域外で3回影響予測 10.1.3-523 (1019)

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