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表 10.1.3-116(1) 重要な種の影響予測結果(オオセグロカモメ) 本種の主な生息環境は水域であり、事業の実施により生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な生息環境である水域は改変されない。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は水域であることから、採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境である水域は、改変区域には含まれていないが、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は主に調査地域周辺の海岸沿いを飛翔しており、湖沼や河川への移動途中等にブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.0105個体/年、球体モデルが0.0275個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.0121個体/年、球体モデルが0.0428個体/年であり、環境省モデル、球体モデルの予測結果とも、新設風力発電設置箇所でわずかに増加するが、いずれも低い値である。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 旧北区。日本海、オホーツク海、ベーリング海のアジア側に分布する。これらの沿岸で繁殖し、南下する。冬は周辺の海域に広がり、東シナ海北部まで南下する。日本では北海道と本州北部で繁殖し、留鳥 または冬鳥で九州部あたりまで現れる。北海道では利尻島・天売島・大黒島・霧多布岬・ユルリ島・モユルリ島・知床半島などに繁殖コロニーが知られ、本州北部では岩手県の椿島・三貫島に繁殖の記録がある。近年増えている。 【参考文献】 「原色日本野鳥生態図鑑<水鳥編>」(1995年、中村登流・中村雅彦、保育社) 本種は現地調査において、鳥類調査、猛禽類調査時に確認された。 本種は合計237回確認され、対象事業実施区域内で22回、対象事業実施区域外で143回、調査地域外で72回確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-520 (1016)

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