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表 10.1.3-109(1) 重要な種の影響予測結果(オオジシギ) 本種の主な生息環境は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性)、自然草地(乾性))であり、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な生息環境となる草地環境のうち、耕作地・二次草地の改変割合は16.5%、自然草地(湿性)の改変割合は1.7%、自然草地(乾性)の改変割合は2.9%と小さい。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性)、自然草地(乾性))の上空であることから、繁殖行動(ディスプレイフライト)及び採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境のうち草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性)、自然草地(乾性))は改変区域に含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は調査地域周辺で繁殖し、繁殖期には上空でディスプレイフライトを行うことから、繁殖時期においてはブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.0121個体/年、球体モデルが0.0394個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.0042個体/年、球体モデルが0.0210個体/年であり、既設風力発電設備より、新設風力発電設備で、年間予測衝突数は減少する。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 ロシア沿海地方、サハリン南部、北方四島を含む北海道、本州中部以北で繁殖し、オーストラリア東部とタスマニアなどで越冬する。日本では九州地方の熊本県や大分県でも繁殖の記録があるが、現在は繁殖が観察されておらず、比較的個体数が多い北海道でも、減少が報告されている。また、日本は繁殖地だけでなく、春秋の渡りの時期には本州以南の水田や湿地などを中継地として利用する。中継地では、シギ類の渡りの時期に、利用に適した水の張った水田が減少しており、渡りの際のエネルギー補給に影響していることも懸念される。 【参考文献】 「レッドデータブック2014-日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類」(2014年、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室) 本種は現地調査において、鳥類調査時、猛禽類調査時に確認された。 本種は合計90回確認され、対象事業実施区域内で17回、対象事業実施区域外で19回、調査地域外で54回確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-511 (1007)

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