表 10.1.3-96 重要な種の影響予測結果(オオヒシクイ) 本種の主な生息環境は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))及び水域であり、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な生息環境となる草地環境のうち、耕作地・二次草地の改変割合は3.2%、自然草地(湿性)の改変割合は0.2%と小さく、水域も改変されない。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))の上空及び水域の上空であることから、採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境のうち草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))は改変区域に含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種の年間予測衝突数は、亜種を含めた種ヒシクイとして算出した。 本種は渡りの途中に調査地域を通過し、春季と秋季の渡り時期においてはブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.0406個体/年、球体モデルが0.0962個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.0168個体/年、球体モデルが0.0527個体/年であり、既設風力発電設備より、新設風力発電設備で、年間予測衝突数は減少する。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 東シベリアとロシア極東北部のタイガ地帯で繫殖し、東の個体群ほど大型化する。最も東で大型のカムチャツカ半島の個体群が日本へ渡来する。日本では、主群は北海道北部のサロベツ原野を、またその一部が東部の十勝地方を中継し、本州で越冬する。日本海側におもに分布し、福島潟、鳥屋野潟、佐潟、朝日池(以上新潟県)、片野鴨池(石川県)、九頭竜川下流域・周辺水田(福島県)、琵琶湖・西池(滋賀県)などで越冬し、一部が太平洋側の蕪栗沼、伊豆沼など(宮城県)、少数が霞ヶ浦・稲波干拓地(茨城県)で越冬する。また、これとは系統が異なるやや小型の小群が斐伊川河口(島根)で越冬する。1917年に狩猟鳥から除外され、国の特別天然記念物に指定され、日本の個体群は絶滅を免れた。 【参考文献】 「レッドデータブック2014-日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類」(2014年、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室) 回確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 本種は現地調査において、猛禽類調査時に確認された。 本種は合計82回確認され、対象事業実施区域内で2回、対象事業実施区域外で3回、調査地域外で77影響予測 10.1.3-495 (991)
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