表 10.1.3-89 重要な種の影響予測結果(エゾシマリス) 本種の主な生息環境である樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)及び自然草地(乾性)が改変区域に含まれることから、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される。しかし、針葉樹林の改変はなく、広葉樹林の改変割合は0.1%、自然草地(乾性)は2.9%と小さいことから、影響は小さいものと予測する。なお、改変や造成範囲は必要最小限にとどめる等の環境保全措置を実施することから、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は樹林内であることから、繁殖や採餌に係る移動経路の一部が阻害される可能性があると考えられる。しかし、改変は風力発電機の設置箇所近傍に限られること、迂回するための空間も確保されていることから、影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境である樹林環境が改変区域に一部含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の避難等が考えられる。しかしながら、工事の実施に伴う騒音は一時的なものであることから、工事中の騒音による生息環境の悪化に係る影響は小さいものと予測する。さらに、工事中は可能な限り低騒音型・低振動型の建設機械を使用する等の環境保全措置を講じることから、影響は低減できるものと予測する。 通行車両が本種の主な生息環境である樹林環境周辺を通過することから、通行車両への接触の可能性が考えられる。しかしながら、工事関係車両への走行速度等の注意喚起に努めること等により、通行車両への接触の可能性は低いと考えられることから、通行車両への接触に係る影響は低減できるものと予測する。 北海道に分布する。海岸から高山帯までの様々な森林に生息するが、開けた環境に多い。樹上でも活動するがおもに地上で活動する。昼行性で、樹木や草の種子、昆虫、陸貝、小鳥の卵や雛を食べる。樹木の種子を地面に埋めて貯蔵するほか、冬眠巣に貯蔵する。北海道では10月から翌年4月まで200日前後に及ぶ冬眠をする。巣は地下や樹洞につくるが、冬眠や繁殖は地下巣で行う。繁殖期は春から夏で、出産は年1~2回。一度に3~7頭、平均5頭の仔を産む。 【参考文献】 「日本の哺乳類[改訂2版]」(安倍永、2008年) 現地調査では、トラップ調査時に確認された。 対象事業実施区域外で2例を確認した。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 工事関係車両への接触 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-487 (983)
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