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表 10.1.3-86 重要な種の影響予測結果(コテングコウモリ) 本種の主な生息環境である樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)が改変区域に含まれることから、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される。しかし、針葉樹林の改変はなく、広葉樹林の改変割合は0.1%と小さいことから、影響は小さいものと予測する。なお、改変や造成範囲は必要最小限にとどめる等の環境保全措置を実施することから、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は樹林内であることから、繁殖や採餌に係る移動経路の一部が阻害される可能性があると考えられる。しかし、改変は風力発電機の設置箇所近傍に限られること、風力発電機の設置箇所周辺には樹林環境が分布していないことから、影響は小さいものと予測する。 バット・バードストライク調査を計95日(内、5月中旬から10月下旬に49日))実施した結果、ブレード・タワー等への接近・接触による死亡と考えられる本種の死骸は確認されなかった。 本種が発する超音波の周波数帯は30~60kHzである。 高度別自動録音調査において、30~60kHzグループの音声はブレード回転高さ30m地点で875例、75m地点で85例確認された。確認例数は地点B1、B4、B5、B2の順で多かった。時期別の確認状況として、確認例数は7月中旬から9月上旬の2ヶ月間に集中しており、この期間の確認例数(2,231例)は全期間の確認例数(2,504例)の89.1%であった。風速別の確認状況は、カットイン速度以下での確認割合が78.7%となった。 すべての音声は5月中旬から10月下旬(特に7月中旬から9月上旬)に確認されており、この期間は、ブレード・タワー等への接近・接触の可能性がある。ただし、カットイン速度以下での確認割合が78.7%であり、バット・バードストライク調査を計95日(内、5月中旬から10月下旬に49日)実施したが、コテングコウモリの死骸は確認されていないことから、影響は小さい予測する。それ以外の11月上旬~5月上旬には音声は確認されていないことから、この期間は、ブレード・タワー等への接近・接触の可能性はなく、影響はないものと予測する。 ただし、この種の衝突に関する既存知見はほとんど存在しないため、予測には不確実性が残ることから、事後調査としてバットストライク調査を実施し、ブレード等への接近・接触状況を確認する。 本種は夜行性であり、昆虫類を餌資源とするため、風力発電機の夜間照明により誘引される可能性がある。しかし、本事業ではライトアップを行わず、夜間の照明は航空障害灯に限られることから、夜間照明による誘引の可能性は低いものと予測する。 北海道、本州、四国、九州、隠岐、対馬、屋久島に分布する。 枯葉、樹皮下、樹洞、隧道、廃坑、自然洞窟などさまざまな場所をねぐらに利用する。春から秋にかけては、北海道では枯葉をおもなねぐらとする。出産保育期は6~7月。北海道では、この時期、メスは樹冠部に、オスは樹冠より低い位置にねぐらをとる。また、メスは毎日ねぐら場所を移動するのに対して、オスは同じねぐらを連続的に利用する傾向がある。 【参考文献】 「コウモリ識別ハンドブック改訂版」(コウモリの会編、2011年) コウモリ類の捕獲調査において、ハープトラップにより、対象事業実施区域外で1個体確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 ブレード・タワー等への接近・接触 夜間照明による誘引 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-484 (980)

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