◆新モデルの骨格 ①設置対象区域の全面積:A(m2) 全体のイメージを下図に示す。淡色部がA区域。黒ポツ○印が風車位置、黒線は鳥の飛翔軌跡。 ②風車が回転する高度幅:M(m) 回転するブレード域の上端と下端の間の幅 ③高度幅Mの空間全体積:MV(m3):MV=①*②=A・M ④風車全台数(n)の合計球体体積=全衝突危険域:S(m3): S=n*1台の球体体積=n・(4/3)・πr 3 ここでrは風車回転半径=ブレード長(m) ⑤全衝突危険域(合計球体体積S)の体積比:PV: PV=④/③=S/MV 高度幅M内における対象種の総飛翔距離をMdとすると TL=⑤*Md=PV・Md=S・Md /MV ⑦S内における対象種の通過頻度:Tn: ここでmaveは1台の風車球体内の平均通過距離(m)で、これは球体の体積を半径rの円の面積で割ることで求められる。 ⑧ブレード面への突入個体数 Bn: ここで分母の2は球体内突入個体がブレード面を横切る確率が1/2であることを意味する。 ⑨総衝突個体数:TN:TN=Bn・接触率T・修正稼働率R’ ここで接触率Tは風車の規格における最大回転数で回っている時にブレード面を通過した個体が、ブレードと接触する確率で、対象種ごとの飛翔速度と侵入角度別接触率から得られた接触率の平均値である。 修正稼働率R’は、対象地の風速に応じて回転数が変動する場合の接触率の変化を反映した稼働率である。 ⑩回避率eにおける総衝突個体数:TNe:TNe=TN・(1-e) ◆区画法(Block count method) <正方形区画> 風力発電計画地を正方形の碁盤目状に区画する。正方形の一辺の距離(d)は250mや500mなどとし,風車1台のブレード回転面直径が含まれる範囲とする。風車回転ブレード域の上端と下端の高度の間の距離をMとし,小区画ごとの空間体積(Mv)をMv=d2·Mとする。 この空間を水平かつ直線的に飛行して横切る鳥の飛行軌跡の理論的平均長Mave1は下記の式で求められる。この式は正方形区の一辺の任意の点の底辺からの高さをxとし,侵入角度をθとすると,通過軌跡yはy=x/sinθなので,これからx=0~dの範囲の平均値はd/(cosθ+sinθ)となる。これを角度θについて0~π/4の間で積分して平均値を出すと Mave1=4·d·0.623225/π=0.7935·d したがって,現地調査により1つの小区画で,ある一定期間に高度Mでn回の通過個体があれば,この小区画における通過延長距離(Md)は Md=Mave1·n で求まる。 このMdのうち,1台の風車のブレード回転域つまり球体内衝突危険域(以下,球体危険域とする)を通過する距離(TL)は,由井・島田(2013)から,球体危険域の体積をSとして となる。ここでS=4πr3/3である。 1台の風車の球体危険域を直線飛行で通過する鳥の個体数(Tn)は,球体危険域内の平均通過距離(Mave2)が由井・島田(2013)からMave2=4r/3であるので, Tn=TL/Mave2=3·TL/4r で求まる。Tnが得られれば,あとは由井・島田(2013)に従い,衝突数(TN)が小区画ごとに計算できる。回避率については当面,既存文献(Scottish Natural Heritage 2010, Cock et al. 2012)の数値を用いる。稼働率は球体モデルの修正稼働率(R′)を用いる。 陸上風力の場合,風力発電計画地全域について飛行軌跡を記録し,後から全域を正方形メッシュで区切って,小区画ごとの高度M内の通過個体数をカウントし,上式から通過距離を算定することは比較的容易にできる。 参考資料:「球体モデルによる風車への鳥類衝突数の推定法」(由井・島田、2013) :「球体モデルに基づく区画法による風車への鳥類衝突数の推定」(由井・江頭、2016) ⑥S内の対象種の総飛翔距離:TL(m):対象区域A内の Tn=TL/mave=(S・Md)/(MV・mave) Bn≦Tn/2=(S・Md)/(MV・mave・2) <球体モデルの使用申請> ・球体モデル特許番号:特許第6016211号 ・使用申請先名:東北鳥類研究所 ・計算確認の有無:[無] ・許可番号:Y-54 ■球体モデルの算出方法 図 風車設置対象区域Aのモデル図 TL=Md·S/Mv 10.1.3-477 (973)
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