③ 専門家へのヒアリング 概要 既存資料の収集整理のみでは得られない地域の情報について、地域の状況に精通している専門家2名にヒアリングを実施した。その結果は、表 4.3-12に示すとおりである。 専門分野 動物(鳥類) 大学教員 本ページの内容は、計画段階環境配慮書に示したものである。なお、配慮書に係る関係機関との協議等を踏まえて修正した箇所をゴシック体で表記した。 表 4.3-12(1) 専門家へのヒアリング結果概要(動物) ヒアリング時期:2018年11月 ・文献調査で収集した既存資料一覧に関して、追加すべき資料は特にない。 ・事業実施想定区域の周辺には、オジロワシが2つがいは生息していると考えられる。海岸と水平に飛行する以外に、海岸と内陸を往来する方向にも飛翔している。 ・この地域では、冬にオオワシも含めて越冬個体が増えるが、若鳥を含めて1年中見られる。オジロワシでは、繁殖後に巣立った個体は秋に分散するが、翌春には出生地周辺に戻る傾向がある。遺伝解析の結果からも、繁殖期に生息している若鳥は北海道生まれの個体である可能性が高いと考えている。 ・チュウヒも事業実施想定区域の周辺で繁殖していると考えられる。天塩川沿いの湿地からパンケ沼にかけて複数のつがいが生息している可能性がある。 ・オオワシは11月~3月まで見られるが、低空の飛行頻度はオジロワシに比べると低かった印象がある。 ・ガンカモ類は、計画地周辺の砂丘林上を低空で飛翔しているのを観察したことがある。一般には、風車衝突よりも風車周辺の環境を採餌場所等として使わなくなることの影響の方が大きいと言われている。 ・タンチョウが周辺に生息している。計画地周辺で繁殖は確認されていないと思うが、周辺の草地・湿地帯は餌場や繁殖のポテンシャルがあり、留意する必要がある。 ・既設風力発電機の設置前に実施された猛禽類調査結果について、既存資料として配慮書で活用することが望ましい。また、当該発電所ではオジロワシの衝突事例が確認されているため、衝突事故の情報を収集し、当時の調査で示されている飛翔ルートと実際の衝突事故発生地点との対応関係や、営巣地、餌場との位置関係などについて分析し、本調査の評価の参考とすることが望まれる。 ・この周辺で風力発電所の設置が計画されており、飛翔経路の変化や衝突率の増加など可能性のある累積的な影響の評価が必要である。アセス調査が先行して実施されているので、そのデータも用いて累積的な影響評価に取り組む必要がある。 4-26 (204)
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