iv. 好適採食地の推定 チュウヒの好適採食地の分布について、餌資源量について推定を行い、好適採食地の推定を行った。 チュウヒが運んでいる餌はネズミ類が多く、草地環境で鳥類の捕獲も確認されていることから、ネズミ類及び草地性鳥類の環境類型区分毎の1ha当り体重を算出した。ネズミ類の1ha当りの餌重量を表 10.1.5-21に、草地性鳥類の1ha当りの餌重量を表 10.1.5-22に示した。 好適採食地の分布として、50mメッシュ当り(0.25ha)の餌資源量(g)を餌資源重量として、環境類型区分の面積に応じてネズミ類、草地性鳥類の値を算出した。なお、ネズミ類については、既設風力発電設備から500m以内の範囲については、500m以内に設定したT1~T4,T9地点の値を、500m以遠の範囲については、対照区として設定したT5~T8,T10の値を用いて餌資源量重量とした。 草地性鳥類については、類型区分毎に、調査地点及び対照区において春季、繁殖期、秋季に確認された確認個体数から1ha当りの重量を算出し、500m以内は調査地点、500m以遠は対照区の値を用いて餌資源重量を算出し、適用した。 ネズミ類の好適採食地について図 10.1.5-39、草地性鳥類の好適採食地について図 10.1.5-40に示した。 ネズミ類の好適採食地の値は、自然草地(湿性)で少なくなった。これは湿地環境では巣穴が水没するため、ネズミ類の生息密度が低いためと推定される。自然草地(乾性)及び耕作地・二次草地では好適採食地の値は多くなっている。なお、広葉樹及び針葉樹林でもネズミ類の好適採食地の値は高い。これらの樹林環境ではチュウヒは狩りができないが、ネズミ類の草地環境への供給源として樹林環境の存在は重要であると考えられる。 草地性鳥類の好適採食地の値は、耕作地・二次草地環境で最も高くなっているが、既設風力発電設備から500mの範囲では、草地性鳥類の個体数が少なくなるため(典型性の調査結果参照)、既設風力発電設備周辺では値が低くなっている。 10.1.5-65 (1285)
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