1 多くの環境影響評価では3割以上の改変があった場合に影響が大きいと、3割未満の改変の場合には影響が小さいと判断している。事例としては「成瀬ダム 環境保全への取り組み」(公表資料)の影響予測フローに、30%を目安として予測を行うことが示されている。本予測ではハマニンニク-コウボウムギ群集以外について5%未満と30%より低い水準であるため、影響は小さいと評価した。 (イ) 重要な植物群落 表 10.1.4-3に示した選定根拠に該当する重要な植物群落は無かったが、植生自然度の高い群落(自然度10及び9)を予測の対象とした。 確認された群落の面積、植生改変面積及び改変率(調査地域内の各群落の面積に対する改変区域内の面積割合)を表 10.1.4-26に示す。 改変区域の合計面積は33.15haで、調査地域全体の6.11%を占める。植生自然度10及び9に該当する10群落のうち、5群落(エゾマツ-トドマツ群集、トドマツ-ミズナラ群落、ハンノキ-ヤチダモ群集、チマキザサ-ヌマガヤ群落、ヒルムシロクラス)については、本事業の実施に伴う改変はなく、本群落への影響はないと予測する。植生自然度10及び9に該当する10群落のうちで改変を受けるのは、ハマニンニク-コウボウムギ群集が最も多く1.65ha(改変率9.27%)、次いでヨシクラスが0.88ha(3.43%)、ヤナギ低木群落が0.45ha(2.04%)、ハマナス群落が0.20ha(0.53%)、ミズナラ群落(海岸風衝型)が0.12ha(0.27%)である。ハマニンニク-コウボウムギ群集以外の植生自然度の高い群落については、それぞれの改変率は5%未満と低いことから、事業の実施による影響は小さいものと予測する1。ハマニンニク-コウボウムギ群集の改変率が9.27%と比較的高いことについては、改変区域内及び対象事業実施区域内に分布している本群落は既設風車建設時に改変された後に成立した群落であり、道道より海側に分布している手つかずの本群落には影響が及ばないことから、重大な影響は生じないと予測する。改変を受けた群落の回復に要する期間については、対象事業実施区域内に分布する植生自然度9及び10の群落のうちハマニンニク-コウボウムギ群集、ヨシクラス、ヤナギ低木群落、ハマナス群落は歴史的に砂採取を行ってきた地域に成立している二次的な植生であり、工事後に時間を掛けることで比較的早期に回復すると予測される。一方でミズナラ群落(海岸風衝型)は、回復までに長期間を要すると予測される。このため、ミズナラ群落(海岸風衝型)の改変を回避する計画に変更する。 10.1.4-50 (1216)
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