幌延_評価書_10章1.3 環境影響評価の結果(動物)【公開版】
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イ. チュウヒに対する累積的影響 チュウヒについては、対象事業実施区域に飛来するつがいとしては、FKペア、WEペア、OMペア、OSペア、T1ペア、T2ペア、WHペアの7つがいが確認されている。 本事業の対象事業実施区域と計画中の風力発電所((仮称)浜里風力発電所)と行動圏が重複するつがいはFKペア、OMペア、T1ペアの3つがいと考えられる。FKペア、OMペア、T1ペアの行動圏内部構造を図 10.1.3-315に、つがい別の確認状況を図 10.1.3-316に示す。累積的影響の予測では、FKペア、OMペア、T1ペアについて行った。 チュウヒは対象事業実施区域周辺や計画中の風力発電所周辺の草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(乾性)、自然草地(湿性)において探餌行動を高頻度で行っている。これらの草地環境は海岸線に沿って幅約500mで広がっており、チュウヒは長時間、これらの草地環境を採食行動のために利用している。探餌行動中の飛翔高度は5~10m以下であることが多く、既設風力発電設備の間を飛翔する際の飛翔高度は、25m以下が89%である。25m以上を飛翔する場合には、ハンティングに成功して営巣地に餌運びを行う場合であった。この場合の飛翔経路は、ハンティングに成功した位置から営巣地を結んだほぼ直線となっており、計画中の風力発電所の予定地も含まれる。これにより、現状よりも風力発電設備への累積的な衝突リスクは増加すると考えられる。 しかし、既設風力発電設備において、風力発電設備の周辺で探餌行動を行い、風力発電設備の間を低く横切る飛翔も多数確認されている。このことから、チュウヒは既設風力発電設備の周辺の草地を特に回避することなく利用していると考えられる。また、飛翔高度が高くなる餌運びを行う場合には、探餌行動中とは違い移動方向を上空も含めて注視していると考えられることから、風力発電設備や風車ブレードは目視で認識していると考えられる。また18年間の運用中に、チュウヒの既設風力発電設備への衝突は確認されていない。 以上を踏まえると、新設風力発電設備においてもチュウヒは対象事業実施区域周辺を利用し続けると考えられ、これは計画中の風力発電所においても同様と考えられる。また、餌運びにおいて25m以上を飛翔することがあるが、前方を注視しながら飛翔していることから、風力発電設備を認識して回避すると考えられる。 以上より、チュウヒFKペア、OMペア、T1ペアに対する新設風力発電設備と計画中の風力発電所による累積的影響としては、餌運び時の衝突リスクが増加すると予測されるが、既設風力発電設備では運用中の18年間で衝突が起きておらず、餌運び時には前方に注視しながら飛翔すると考えられることから、衝突が生じる可能性は低いと予測される。そのため、チュウヒFKペア、OMペア、T1ペアに対する累積的な影響は小さいと予測される。 10.1.3-661 (1159)

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