(イ) ハクチョウ類 <2019年9月~11月:秋季> ハクチョウ類の飛翔経路(図 10.1.3-294)を見ると、確認された例数は少ないが、高い高度(200~300m以上)で南へ飛翔する個体が確認された。稚内の大沼やパンケ沼・ペンケ沼を起点として南方向へ飛翔すると考えられるが、調査地域周辺に降りることは非常に少なく、上空を通過する例が多かった。天塩川の左岸側には山地が広がっており(標高約100~150m)、主にこの山地を超えるために高く飛翔していると考えられた。風車を横切る例も数例確認されたが、衝突するような高度ではなく、非常に高い位置を通過しており、新設風力発電設備と衝突する可能性は低いと考えられる。 <2020年3月~5月:春季> ハクチョウ類の飛翔経路(図 10.1.3-295)を見ると、やはり秋季より確認例数は少ないが、天塩川沿いに移動してきた個体が調査地域付近から北や北東に移動する状況が確認された。風車列に掛かる例も高空を飛翔しており、新設風力発電設備と衝突する可能性は低いと考えられる。 <2020年9月~11月:秋季> ハクチョウ類の飛翔経路(図 10.1.3-296)を見ると、2019年秋季の調査結果と同様の傾向が見られ、海岸から海上に出る個体が多く確認された。海上を飛翔する個体は、遠く離れた留萌や小樽等の山地を直接目指して飛翔している可能性が考えられる。秋季には、コハクチョウの95羽の群れが、既設風力発電設備を避けながら高度Mで風車間を横断する飛翔が確認されたが、新設風力発電設備においても既設風力発電設備と同様に、風車を避けて飛翔する可能性が考えられる。 <2021年3月~5月:春季> ハクチョウ類の飛翔経路(図 10.1.3-297)を見ると、2020年度春季の調査結果と同様の傾向が見られたが、より内陸部や川沿いを北方向に飛翔する例が多かった。調査地域周辺の飛翔はほとんどなく、新設風力発電設備に衝突する可能性は低いと考えられる。 <2022年4月~5月:春季> ハクチョウ類の飛翔経路(図 10.1.3-298)を見ると、2020年~2021年度春季の調査結果と比較すると、対象事業実施区域の東側の樹林上や風力発電設備周辺を飛翔する傾向が見られた。春季には、延べ34羽のハクチョウ属の一種が、高度Mで風車間を横断する飛翔が確認されたが、新設風力発電設備においても既設風力発電設備と同様に、風車を避けて飛翔する可能性が考えられる。 10.1.3-635 (1133)
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