幌延_評価書_10章1.3 環境影響評価の結果(動物)【公開版】
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iii. 忌避音による忌避効果の検証結果 夜間の忌避音による忌避効果を確認するため、2022年4月、5月レーダー調査時に実施した検証実験の結果を踏まえて、予測評価を行った。解析においては、スピーカー周辺の飛跡データを抽出し、忌避音あり(以降「対策あり」とする)、忌避音なし(以降「対策なし」とする)の時間帯のメッシュごとのデータ合計値(1時間あたり飛跡数の合計)を集計し、「対策なし」に対する「対策あり」の合計飛跡数の割合について算出し、比較を行った。 なお、新設風力発電設備のブレードのローター直径が117mであることから、図 10.1.3-285、図 10.1.3-286に示す音源に近いメッシュ(黄色枠内)が、概ねローターの回転域が収まる範囲となる。 分析結果により、音源に近いメッシュ(黄色枠内)の1時間あたり飛跡数は、「対策あり」では「対策なし」に対する減少率は59.5%であった。その外側(青色枠内)まで含めた場合は12.6%、さらにその外側(緑色枠内)まで含めた場合は-0.1%の減少率であった(表 10.1.3-148)。 以上の結果により、音源に近いメッシュで忌避が生じていた可能性が高いと考えられた。 なお、この解析手法による分析結果では、音源を忌避した飛翔も、音源周辺のメッシュでカウントされている可能性があることから、忌避効果については過小評価となっていると考えられる。 2020年9~10月、2021年4~5月に同じ音源を用いた回避行動の実験を行っている(小村ほか, 風力発電施設におけるバードストライク対策の検討, 2021.9, I-net Vol.59, P.2-3)。この実験では、異なる方向から2台のレーダーを同時に使用し、そのまま飛び続けた場合に確実にレーダーの回転範囲を通過する個体66データを母数として、何個体が回避するかを調査した。この結果、忌避音を照射した個体のうち、8割で何らかの忌避行動(高度上昇、引き返し、コース変更など)が確認されている。この実験結果と今回の分析結果を踏まえると、忌避音を用いた環境保全措置の効果は60%~80%であり、衝突確率の低減に十分な効果が期待できると考えられる。 夜間の忌避音については、春季、秋季の渡り鳥だけではなく、特に春季に風力発電設備周辺で繁殖する鳥類に対しても影響を与える可能性が考えられる。これを踏まえて、音声発生装置は地上から離して上空側に向けて設置し、周辺で繁殖する鳥類への影響を可能な限り軽減するとともに、風車の可動範囲を目安として照射範囲や音量等を調整して影響を可能な限り軽減するなど、十分に配慮して実施することとする。 なお、「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改訂版)」(2022年8月、環境省自然環境局野生生物課)において、風力発電施設における防止策の一つとして、海外において警戒音を用いた防止策が取り入れられている事例が示されている。これを踏まえ、昼間に定期的に警戒音を発することにより、風力発電設備に接近する希少猛禽類等への注意喚起を促す効果が期待できることから、併せて環境保全措置として実施する。 10.1.3-601 (1099)

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