騒音による餌資源の減少 工事関係車両への接触 ブレード・タワー等への接近・接触 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種の主な餌資源である小型哺乳類及び鳥類については、工事に伴う騒音により、改変区域に生息している個体の一時的な逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種の主な生息環境である草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性)、自然草地(乾性))は、改変区域が含まれることから、工事の実施に伴い工事関係車両との接触による影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う車両の通行は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、対象事業実施区域内の搬入路及び工事用道路を工事関係車両が通行する際は、十分に減速し、本種が接触する事故を未然に防止することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は調査地域周辺で繁殖し、繁殖期には対象事業実施区域を含む調査地域内の草地環境を採食場所として利用しており、繁殖時期においてはブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.027個体/年、球体モデルが0.0628個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.0204個体/年、球体モデルが0.0651個体/年であり、環境省モデルでは、既設風力発電設備より新設風力発電設備で、年間予測衝突数は減少するものの、球体モデルではわずかに上昇すると予測された。これは既設風力発電設備のローター下端が48.75mなのに対し、新設風力発電設備では25.5mとなることが影響していると考えられる。 しかしながら、風車を横切る飛翔の対地高度を確認してみたところ、10m以下の飛翔例が50%以上となっており、25m以下では89%である。実際に地面を見ながら探餌行動を行っている際の飛翔高度は、数m~10m以下と非常に低く、対地高度25m以上を横切る場合は、餌の捕獲に成功して営巣地に運ぶ場合や旋回上昇中、滑空等が多い。「海ワシ類の風力発電施設バードストライク防止策の検討・実施手引き(改訂版)」(2022年、環境省)において、下方を注目することで周辺への警戒心が下がることが、衝突発生の要因の一つとして示されていることを踏まえると、旋回上昇中や滑空時には飛翔方向を注視することから、衝突する可能性は低いと考えられる。また、実際にチュウヒが風力発電設備に衝突した事例の報告は、国内ではこれまでにない。海外では、近縁種であるヨーロッパチュウヒの衝突事例が1例報告されているのみである。 また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。さらに、音声発生装置を用いた環境保全措置の実施により、衝突確率はより低減できると考えられる。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 10.1.3-554 (1052)
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