表 10.1.3-124(1) 重要な種の影響予測結果(オオワシ) 本種の主な生息環境は樹林環境(針葉樹林)及び水域であり、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な採食地である規模の大きな河川や海域は対象事業実施区域には含まれない。また、本種が休息場所として利用する樹林環境のうち、針葉樹林は改変されず、水域も改変されない。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は樹林地の上空及び水域の上空であることから、採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境のうち樹林環境(針葉樹林)は改変区域に含まれていないため、騒音等の影響は想定されない。なお、本種が周辺地域において確認される1~3月には工事は実施されず、春秋の渡り期に当たる12月、4月に工事は行われるものの、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は冬鳥として調査地域に生息しており、春秋の渡り期から越冬期にかけてブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、環境省モデルが0.0721個体/年、球体モデルが0.1558個体/年である。新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)における、本種の年間予測衝突数は、5メッシュの合計値で、環境省モデルが0.0221個体/年、球体モデルが0.0622個体/年であり、既設風力発電設備より、新設風力発電設備で、年間予測衝突数は減少する。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。さらに、音声発生装置を用いた環境保全措置の実施により、衝突確率はより低減できると考えられる。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 ロシア極東、日本、朝鮮半島、中国東北部に分布。繁殖地はロシア極東のベーリング海沿岸部、カムチャツカ州、マガダン州海岸部、ハバロフスク地方の沿岸部およびアムール川下流域、サハリン北東部。 冬期は北海道、本州北部・中部、ロシア沿海地方、カムチャツカ半島南部、千島列島などで越冬し、西日本や中国東北部、朝鮮半島に南下する個体もある。 海岸や湖沼の周辺、河川の中・下流域のほか、海氷の分布する沿岸海域に生息。主に水辺で採餌し、海岸の森林や湖沼周辺の森林を休み場やねぐらとして利用する。 国指定の天然記念物になっている。 【参考文献】 「レッドデータブック2014-日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類」(2014年、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室) 本種は現地調査において、鳥類調査、猛禽類調査時に確認された。 本種は合計634回確認され、そのうち対象事業実施区域内で78回、対象事業実施区域外で231回、調査地域外で325回確認された。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-551 (1049)
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