表 10.1.3-104 重要な種の影響予測結果(ハクガン) 本種の主な生息環境は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))及び水域であり、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される可能性が考えられる。しかしながら、本種の主な生息環境となる草地環境のうち、耕作地・二次草地の改変割合は3.2%、自然草地(湿性)の改変割合は0.2%と小さく、水域も改変されない。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の輸送路に限定される。 以上のことから、改変による生息環境の減少・消失に係る影響は小さいものと予測する。さらに地形や既存道路等を十分考慮し、改変面積を最小限に留める等の環境保全措置の実施により、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))の上空及び水域の上空であることから、採食行動に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられる。しかしながら、改変区域は風力発電機の設置近傍及び既設道路周辺に限定されることから、本種が迂回するための空間は確保される。 以上のことから、移動経路の遮断・阻害に係る影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境のうち草地環境(耕作地・二次草地、自然草地(湿性))は改変区域に含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 本種は渡りの途中に調査地域を通過し、春季と秋季の渡り時期においてはブレード・タワー等への接近・接触の可能性が考えられる。しかしながら、既設風力発電施設の28箇所(15メッシュ)及び新設風力発電設置箇所の5箇所(5メッシュ)において、現地調査では高度Mの飛翔は確認されなかった。また、改変は風力発電機の設置箇所や一部の搬入路に限定され、新設風力発電機は既設風力発電機より間隔が保たれており、本種が迂回可能な空間が確保されている。 以上のことから、本種が風力発電機のブレードへ衝突する可能性は低いと予測する。 大多数は北米大陸北部、グリーンランド西北部、ロシアのウランゲル島など北極海沿岸などで繁殖し、北米の温帯域で越冬する。アジアの個体群は、ロシア極東の北極海沿岸で繁殖し、日本など温帯域で越冬していたと思われる。1800年代後半には、東京湾に「残雪のごとし」と言われるほど多数飛来したが、1940年代までに日本への群れの渡来は途絶えてしまった。現在は、秋期に、北海道十勝川下流域やサロベツ原野に、数羽から数十羽の群れで飛来し、その後南下し、主に秋田県八郎潟・小友沼や新潟県朝日池など日本海側の湖沼で越冬し、時に宮城にも飛来する。 主に水辺(湖沼、河川)や農耕地(水田、畑、牧草地)に生息する。 【参考文献】 「レッドデータブック2014-日本の絶滅のおそれのある野生動物-2 鳥類」(2014年、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室) 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 ブレード・タワー等への接近・接触 分布・生態学的特徴 確認状況 本種は現地調査において、猛禽類調査時に確認された。 本種は調査地域外で3回確認され、対象事業実施区域内では確認されなかった。 影響予測 10.1.3-522 (1020)
元のページ ../index.html#522