表 10.1.3-94 重要な種の影響予測結果(エゾヒグマ) 本種の主な生息環境である樹林環境(針葉樹林、広葉樹林)が改変区域に含まれることから、事業の実施により本種の生息環境の一部が改変される。しかし、針葉樹林の改変はなく、広葉樹林の改変割合は0.3%と小さいことから、影響は小さいものと予測する。なお、改変や造成範囲は必要最小限にとどめる等の環境保全措置を実施することから、影響は低減できるものと予測する。 本種の主要な移動経路は樹林内であることから、繁殖や採餌に係る移動経路の一部が阻害される可能性があると考えられる。しかし、改変は風力発電機の設置箇所近傍に限られること、迂回するための空間も確保されていることから、影響は小さいものと予測する。 本種の主な生息環境である樹林環境が改変区域に一部含まれることから、工事の実施に伴う騒音により、改変区域周辺に生息している個体の避難等が考えられる。しかしながら、工事の実施に伴う騒音は一時的なものであることから、工事中の騒音による生息環境の悪化に係る影響は小さいものと予測する。さらに、工事中は可能な限り低騒音型・低振動型の建設機械を使用する等の環境保全措置を講じることから、影響は低減できるものと予測する。 本種の主な餌資源であるエゾシカ及び昆虫類等については、工事に伴う騒音により、改変区域に生息している個体の一時的な逃避等の影響が考えられる。しかしながら、工事に伴う騒音は一時的なものである。 以上のことから、影響は小さいものと予測する。さらに、環境保全措置として、工事中は可能な限り低騒音型の建設機械を使用することにより、影響は低減できるものと予測する。 通行車両が本種の主な生息環境である樹林環境周辺を通過することから、通行車両への接触の可能性が考えられる。しかしながら、工事関係車両への走行速度等の注意喚起に努めること等により、通行車両への接触の可能性は低いと考えられることから、通行車両への接触に係る影響は低減できるものと予測する。 北海道の森林原野に生息し、夏から秋には中央山地帯では高山帯にも出没する。雑食性で、餌となる動植物は150種類以上に達する。春はフキ、ササの芽などの植物の茎・根、夏はノイチゴ類、秋にはコクワ・ミズナラの実など植物を多く採食する。動物質のものとしては、夏にアリ・ハチ類を採食するほか、エゾシカなどの死体を食べることがある。かつては秋にサケ・マスを多く採食していたが、サケ類が自然遡上できる川が減少したため、知床半島の一部の河川などを除き、現在ではサケ類の捕食は減少した。12月中旬から4月末まで冬眠する。越冬場所には、おもに土穴を利用する。雌は冬眠中に1~2頭、まれに3頭の仔を出産する。 【参考文献】 「日本の哺乳類[改訂2版]」(阿部(永)、2008年) 現地調査では、鳥類調査時に確認された。 対象事業実施区域外でのみ1個体を確認した。 改変による生息環境の減少・消失 移動経路の遮断・阻害 騒音による生息環境の悪化 騒音による餌資源の逃避・減少 工事関係車両への接触 分布・生態学的特徴 確認状況 影響予測 10.1.3-510 (1008)
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