v. スズメ目鳥類 <2019年9月~11月:秋季> 小型鳥類については、スズメ目の鳥類について、すべてまとめて整理した。 スズメ目鳥類の飛翔経路(図 10.1.3-213)を見ると、主要な飛行ルートは海岸沿いと、調査地域の東側に位置する樹林帯に沿っての飛翔であり、調査地域南側で合流して天塩川に沿って飛翔する個体が多く確認された。湿地上を通過する飛翔例も確認されたが、相対的に少なかった。調査地域周辺では、樹林帯に沿って低く飛翔する例が多く(海岸沿いも、ハマナス等の灌木に沿って比較的低く飛翔)、高さは200m未満が多かった。これは渡り途中でハヤブサ等の猛禽類に襲われる危険があるため、低く飛翔していると考えられる。西側の海岸と東側の樹林帯の間を移動する場合もあり、多くの例では風車を避けて飛翔していたが、定点観察調査中に1例、ヒガラの風車ブレードへの衝突が目視で確認された。ヒガラは述べ約16万個体以上が移動しており、風車列を横切る群れは、多くが風車を避けて飛翔していたが、ごく稀に衝突が起きるものと考えられる。 <2020年3月~5月:春季> スズメ目鳥類の飛翔経路(図 10.1.3-214)を見ると、多くは東側の樹林沿いを移動していた。なお、風車を横切る際には、多くは風車の羽根よりも低い位置や風車と風車の間、風車より高い位置を通過しており、風車との衝突は確認されなかった。 <2020年9月~11月:秋季> スズメ目鳥類の飛翔経路(図 10.1.3-215)を見ると、2019年秋季の調査結果と同様の傾向だったが、海岸沿いの飛翔例は多くなかった。東側の樹林帯に沿って飛翔する個体が多く見られ、林内や林上を南へ飛翔したのち、天塩川付近で川に沿って低く飛翔するのが確認された。全体的に飛翔高度は2019年秋季より低く、林内を移動するような低い飛翔が多く確認された。 2019年秋季のように非常に短時間に多くの個体が通過する場合には、安全な林内や樹林直上を通ることができず、樹林の上空や海岸沿い等にはみ出すように飛翔せざるを得なかった可能性が考えられ、通常は、2020年秋季のように樹林帯の林内や樹冠に沿って低く飛翔することが多いと考えられる。2020年秋季については、風車列を横切るような飛翔は少なかった。 <2021年3月~5月:春季> スズメ目鳥類の飛翔経路(図 10.1.3-216)を見ると、2020年春季と比較しても飛翔数が少なく、天塩川など河川沿いを飛翔しているもの以外、全体的に飛翔高度は低く、林内を移動するような低い飛翔が多く確認された。春季には2020年と同様に、樹林帯の樹冠に沿って樹林内を低く飛翔すると考えられる。2021年春季については、風車列を横切るような飛翔は確認されなかった。 <2022年4月~5月:春季> スズメ目鳥類の飛翔経路(図 10.1.3-217)を見ると、渡り鳥調査は実施していないため、2021年春季と比較しても飛翔数は少なかった。 10.1.3-428 (926)
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